トラストパートナーズの駐車場小口投資は老後の資産運用に向いているのか?

Yahoo!ニュースを見ていたら、次のようなコピーの広告を見つけました。

老後の準備、お済ですか?
今からでも間に合う!賢い老後資金作りは駐車場投資がおすすめ。1口百万円から

読んで分かるように、駐車場を使った資産運用を勧誘する広告のようです。でも、これだけでは詳しい内容は分からないので、広告をクリックしてもう少し調べてみることにしました。

広告を出していたのはトラストパートナーズという会社でした。どんなシステムなのかを簡単に言うと、次のような仕組です。

  1. 1口あたり100万円を出資する
  2. トランスパートナーズが複数の不動産を取得し、駐車場を作り運営する
  3. 出資者は、時間貸駐車場の共同所有者になる
  4. 売り上げに応じて、出資者にお金が振り込まれる

要するに、出資をすると出資に応じて利益の配分を受けられるということですね。株式の配当金を受け取るイメージでとらえるといいのではないかと思います。

あるいは、ちょっとイメージは悪いですが、安愚楽牧場のモデルに似ているともいえます。もっとも、安愚楽牧場よりは仕組がシンプルで透明性がありそうには見えますけど。

さて、この仕組は、老後資金の運用に向いているのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。

利回り保証ではない

この商品の広告を見ていると、予定賃料利回りが4.3%と書かれています。要するに、100万円を投資すると、年4万3000円のリターンがあるという「予定」ということですね。

国債の長期金利が1%を大きく割る時代ですから、この利回りはとんでもなく高いものに思えます。ぜひ投資したいと思う人がいても不思議ではありません。

しかし、これはあくまで予定です。当然ですが、予定通りに行かない可能性も高いと思っておいた方が良いでしょうね。

サイトに載っている過去の実績を見ると、それほど悪くないようにも見えますけどね。あくまで過去は過去です。将来の成功を保証するものではありません。

ようするに、リターンに変動リスクがあるということですね。

元本割れすることがある

利回りが予定を下回ることのデメリットは、実は、収入が小さくなるだけではありません。権利を売ろうと思ったときに、売却価格が下がってしまう可能性があるのです。

この駐車場の権利を売るには、誰かに売却するか運営会社に買い取ってもらうかの2つの方法があります。そして、運営会社が買い取る場合は、「直近1年間の賃料収入を予定利回りの0.43%で割った金額」とされています。

例えば、予定通り100万円に対して4万3000円のリターンがあった場合は、「43,000÷0.0043=100万」で100万円が戻ってくることになります。しかし、仮に年3万円のリターンしかなかった場合は、「30,000÷0.0043≒69.8万」となり、30万円以上損をするわけです。

この投資商品の広告のページでは、「ローリスク・ミドルリターン」であると謳っています。しかし、状況しだいでは大きく元本を減らす可能性もあるわけです。

さすがにこれで、ローリスクとはいえないですよね。「ハイリスク・ミドルリターン」というのが率直な印象です。予定利回りが変動する可能性もありますしね。

まあ、広告ですから、いいように書くのでしょう。

リートの方が良いんじゃないか?

この商品というのは、言ってみれば、いわゆるリートに近い商品と言えるでしょう。

不特定多数の人からお金を集めて不動産投資をするのは、リートにそっくりです。賃料収入が配当に回るというところも似ていますね。さらに、複数の物件で分散するというのも、リートの特徴そのままです。

そうであるのなら、最初からリートに投資するほうがいいのではないでしょうか。

市場で流通している分、リートの方が取引価格は合理的に決まります。上に挙げたような、ちょっと根拠が分かりづらい買取価格よりはよほどいいはずです。

また、売りたいときにいつでも売れると言う意味でも、リートの方が優れていると言えるでしょう。

利回りに関しては、リートだと2%台から5%台まで様々なようです。この広告で挙げられているような4%台の配当も無い話ではありません。

まあ、私だったら、リートを選びますけどね。すくなくとも、リスクを小さくしたい老後資金の運用なら、なおさらリートを選びたいと考えます。


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