最近は生命保険というと、医療保険を思い出す人も多いでしょう。厳密に言うと、医療保険は生命保険ではありません。ただ、確かに、生保会社で扱われている保険であることは間違いありません。
今回はこの医療保険と貯蓄の関係について考えてみましょう。実は、医療保険について考えると貯蓄を増やせる可能性があるのです。
民間の医療保険の必要性は小さい
最近は民間の医療保険は必要なものだと考えている人が多いようです。テレビのCMなどを見ていると、必要そうな気がしてきますよね。アヒルが出てくるヤツとか。
でも実は、必ずしもそんなことは無いのです。というか、多くの人にとって、医療保険は不要なものだと言っていいでしょう。
「もし病気になって入院したら」と考えると、不安になる気持ちは分かります。その不安な気持ちを煽って契約させようというのが、保険会社のマーケティング戦略です。
でも、万が一入院するような場合でも、実は自己負担はそれほど大きくないのです。ですから、保険会社のメッセージを素直に受け取りすぎて、不安な気持ちのまま契約することは避けないといけません。保険会社の思う壺になってしまいます。
ところで、なぜ自己負担がそれほど大きくないかというと、公的な医療保険である健康保険や国民健康保険があるからです。公的な医療保険のおかげで、仮に大病をしても、自己負担はそこまで大きくならないように工夫されているのです。
実は、公的な医療保険の給付はかなり充実しています。それを知らないから不安になってしまうのです。
自己負担3割だけではない公的な医療保険
健康保険などの公的な医療保険を使うと、自己負担は3割で済むという事実は、多くの人が知っているでしょう。そして、健康保険などの機能はこれだけだと思っている人も多いはずです。
しかし、公的な医療保険の給付はそれだけではありません。他にも様々な給付があるのです。
例えば、1か月の医療費が大きくなりすぎたときには、高額療養費という仕組が使えます。この仕組により、平均的な所得の家庭なら、入院費用を含む1か月の医療費が10万円を超えるようなことはありません。
そして長期の入院の場合には、1か月の医療費の上限はさらに下がります。ということは、医療費としては、高くても数十万円程度でおさまることが多いのです。
大部屋があいていない場合などは、最初は個室に入ることもあるでしょう。そういった場合には、入院した最初の時期には多少の負担があります。ただ長期入院なら、大部屋に移ることも可能でしょう。
ですから、かなり大きめに見積もっても、1回の入院で最大100万円程度の自己負担で済むと考えておけば十分なのです。50万円を超えるようなケースはまれです。
もちろん、数十万円の出費は大きいですが、預貯金で準備できない額ではありませんよね。
さらに言うと、入院をして仕事ができない期間には、傷病手当金というお金が支払われます。これは何かというと、病気などで働けない期間の所得保障をしてくれる仕組です。
大雑把に言うと、働けない期間の給与の3分の2に当たる金額が給付されます。ですから、病気やケガで働けない期間も、最低限の収入は確保されるわけですね。
こんな状況ですから、医療保険の必要性は、そもそも小さいのです。
民間の医療保険は半分近くが手数料
民間の医療保険に関しては、もう一つ気になる点があります。手数料が非常に高いのです。
どのくらい手数料が高いかというと、支払う保険料の半分近くが手数料というイメージです。さすがに半分はいっていないところが多いと思います。それでも、保険料に対して3割台とか4割台の手数料を取っているところが多いはずです。
もちろん、保険料に対する手数料の割合は、保険会社によっても違いますし、年齢や性別でも異なります。そして、通常は社外秘の情報ですので、私たちは知りようがありません。
ただ、表に出てきている情報から考えると、かなりの手数料を取っているのは間違いないでしょう。
例えば、ライフネット生命の手数料はネットで公開されているのです。保険料が安い同社ですら保険料の2割台は手数料として取られています。
同じような保障で保険料が高い大手なら、手数料はさらに高いはずなのです。3割台とか4割台というのは、全く大げさな話ではないはずです。
医療保険に入る代わりに保険料と同額を積立しよう
こんなばかげた手数料を取られるくらいなら、預貯金でもした方がいいですよね。医療保険の保険料は、そこまで高くはありません。それでも、毎月貯金に回せば、結構な額が貯まります。
もちろん、民間の医療保険がどうしても必要ということなら、手数料が高くても入らないといけません。しかしながら、上に書いたように、医療保険の必要性はそれほど大きくありません。
ということは、入らない方がいいという結論になるわけです。あるいは、医療保険に入るとしても、一番保障が小さいプランでいいのでではないでしょうか。
必要性をきっちり見極めて、余分な分は積立にまわすようにしたいものです。
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