外貨預金の積立は老後資金の準備に向いた商品か?

最近は外貨預金の積立サービスをやっている銀行もあるようです。ということは、外貨預金を使って老後資金の準備をすることも可能だということですね。

ただ、利用できるというのと、利用価値があるというのはまた別問題です。外貨預金の積立を使って老後資金の準備をするのは合理的な選択なのでしょうか。

ちょっと考えてみましょう。

外貨預金の積立ができる銀行の例

外貨預金を使って老後資金を準備することの是非について考える前に、どんな形で外貨預金の積立ができるのか、一つ例を見て起きましょう。具体的には、楽天銀行の「外貨定期預金の積立購入」というサービスについてみていきます。

まず、この商品ですが、月々3,000円から積立を行うことができます。普通預金ではなく定期預金として積み立てるサービスです。毎月一定額で、外貨定期預金を組んでいくというイメージですね。

小額で始められるのは、一つのメリットと言えるでしょう。他の商品と組み合わせやすくなりますからね。

多少金利が良い定期預金で積み立てられるのも、メリットの一つかもしれません。老後資金として準備するなら長期運用が基本です。そうであれば普通預金よりは多少金利の良い定期預金の方がいいはずですからね。

取り扱う通貨は、米ドル、ユーロ、豪ドル、英ポンド、NZドル、南アフリカ・ランド、人民元の7つです。これを書いている時点の1年もの定期の金利で見ると、ユーロの年0.02%が最低で、南アフリカ・ランドの年5.15%が最高の金利のようです。

ユーロの年0.02%は円建ての定期預金と大差が無い印象ですね。為替のリスクを取ってまで預ける価値があるとは思えません。その一方で、南アフリカ・ランドの年5.15%は、なかなか有利な商品のようにも見えます。

ちなみに積み立てるのは外貨の定期預金なので、当然ですが満期があります。その場合はどうなるかと言うと、自動継続のシステムがあるようです。

まあ、大雑把に言うと、大体こんな感じです。

金利が良い南アフリカ・ランドは有利なのか?

金利が低い米ドルやユーロは論外としても、南アフリカ・ランドは一見有利なように見えます。

これを書いている時点では、日本の10年物の国債でも表面利率は年0.4%程度です。ということは、たった1年の定期でその10倍以上の金利がつくということです。

一般的には、運用期間が長い金融商品ほど金利は高くなります。ですから、1年の定期預金の方がこんなに金利が高いのは、かなり驚くべきことなのです。

ですから、この数字を見て、外貨預金に投資しようと思う方もいらっしゃるでしょう。

ただ、実は、この金利差は必ずしも南アフリカ・ランドの方が有利なことを意味しません。一般的には、金利差がある場合は、為替はそれを打ち消す方向に動くからです。

もちろん、あくまでそういう傾向があるという話ですから、為替が反対に動いてさらに儲かる可能性もありますけどね。理論的には見た目の金利差ほど有利ではないということです。

さらに言うと、外貨預金はそもそも金利が低めに設定されていることが多いです。特にメガバンクの外貨預金は酷いものです。ですから、金利と言う面では、外貨預金は不利な商品という言い方も出来ます。

実はこのことは簡単にチェックできます。

楽天証券で取り扱っている南アフリカ・ランドのMMF の金利をチェックすると、これを書いている時点で年5.584%であることが分かります。つまり、0.4%ほどですがMMF の方が有利なのです。

MMF と言うのは、定期預金のように途中で解約しにくいなどの縛りがありません。ですから、金融の常識で考えると、定期預金の方が金利がよくないといけないのです。

ネット銀行である楽天銀行ですら、外貨預金は不利に設定されています。メガバンクだとさらに酷いことになっているのは容易に想像がつきますね。

外貨を組み込むのは悪くないが

老後資金の準備をするのに、外貨建ての商品を組み込むのは悪いことではありません。ただ、外貨建ての商品の中でも、外貨預金は筋が悪い商品だと言えるでしょう。

外貨建ての商品に興味を持ったのなら、外貨預金以外の金融商品を考えてみると良いでしょう。その方が賢明な選択だと思います。

例えば、海外の債券や株式に投資する投資信託なども選択肢として考えられます。この場合は、私たちが投資する段階では円建てですが、運用は外貨建てで行われるので、結局外貨建ての商品を買ったのと同じ効果が得られます。

もっとも、投資信託は投資信託で、いい点も悪移転もあります。ですから、慎重に検討することは必要でしょう。まあ、全般的には、外貨預金よりはマシだと思いますけど。

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