退職金にかかる税金の計算例②

前のページに引き続き、退職金にかかる税金の計算例をご紹介しましょう。今度は勤続年数が20年を越える場合などです。

勤続年数が30年5ヶ月で、1,500万円の退職金をもらった場合

まず、控除額を計算します。控除額を計算するときには、勤続年数は端数を繰上げしますので、計算上は31年として計算されます。31年の勤続年数がある場合、控除額は以下のように計算できます。

= 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
= 800万円 + 70万円 × 11
= 800万円 + 770万円
= 1,500万円

ということで、この場合は所得税も住民税もかかりません。

勤続年数が40年で、6,000万円の退職金をもらった場合

次に勤続年数が40年ぴったりで、退職金が6,000万円だった場合を考えてみましょう。この場合は、控除額は2,200万円(= 800万円 + 70万円 × 20 )となります。退職金の額である6,000万円から控除額である2,200万円を差し引くと3,800万円になります。退職所得の場合は退職所得をここから半分に出来ますので1,900万円が退職所得になります。

この場合国税庁のサイトによると、税率は40%で控除額は279万6000円なのだそうです。所得税額は、次のように計算できます。

1,900万円 × 0.4 -279万6000円
=480万4000円

住民税は一律で税率が10%なので、190万円が課税されます。ということで、この2つをあわせて、670万4000円が税金として取られるわけです。

670万円という額は決して小さくは無いですが、受け取った6,000万円からすると、10%程度に過ぎません。給与所得や事業所得などと比べると、かなり優遇されていることがわかります。給与所得なら半分以上は税金に取られますからね。

8か月で辞めたのに50万円の退職金をもらった場合

最後にちょっと極端な例をご紹介しましょう。入社してわずか8か月で辞めてしまったというケースです。しかも、こんなに短い期間に辞めたのに、50万円の退職金が出たとしましょう。

退職金は長い期間勤めたことに対する評価、すなわち勤続手当的なものと言う側面があります。ですから、短期間で辞めた場合は退職金が出ない場合の方が多いですけどね。広い世の中ですから、こんなケースもあるかもしれません。

まず、今までと同様に控除額を考えると、端数は繰り上げられるので勤続年数は1年とみなされます。ですから計算式によると、40万円の控除ということになります。しかし、80万円に満たない場合は80万にするという特別ルールがあるので、実はこの人の場合は控除額が80万円になります。

ということは、受け取った50万円よりも控除額の方が大きくなり、このケースでは所得税がかかりません。

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