資産運用に関する書籍や記事を読んでいると、財形貯蓄をすすめているものにであることがあります。財形貯蓄は定められた枠の範囲内は非課税なのでお得であると言うのがその主張です。
例えば次の記事の中では、老後資金の運用で、財形貯蓄の一つである財形年金貯蓄をすすめています。
また、勤務先が財形制度を導入している場合、財形年金貯蓄はぜひ利用したい。積み立て時は財形住宅貯蓄と合算して550万円まで非課税となり、年金受け取り時も非課税となる(個人年金等の場合は雑所得となって所得税が課税される)。「50代までに先手を打てるかどうかで、60代以降が大きく変わってきます」(畠中氏)。
- 40代は9割がピンチ! 定年までにいくら貯めればよいか(プレジデント)2014年6月2日
本当にお得なのかかなり疑問があります
こういった文章を見かけるために、「いい加減なこと書くなよな!」と思ってしまいます。
財形年金貯蓄に非課税枠があるのはその通りです。ですから、一般的な銀行預金や生命保険よりも若干得だといえなくもありません。でも、財形貯蓄のいう非課税って、実は全然たいしたことが無いのです。これだったら、非課税枠が無い他の有利な商品を利用した方が良いでしょう。非課税枠を利用しようと思うあまり、不利な商品で運用することになってしまうわけですね。
ですから、専門家づらして財形年金貯蓄がおすすめとか書かれてしまうと、ちょっとイラっとするわけです。大人気ないとは思いますけどね。
財形貯蓄の非課税は受け取った利息が非課税になると言うだけ
財形貯蓄の非課税に関して、もう少しみてみましょう。財形貯蓄で非課税になるのは、その利息の部分に対してです。例えば銀行預金で利息がつくと、その利息は利子所得とみなされます。それに対して約2割の税金(所得税、住民税など)がかかるわけです。この部分が非課税になるわけですね。
銀行預金の金利が2%も3%もある時代なら、2割の税金を取られないのはメリットと言えるでしょう。例えば、300万円預けていたとして年率が3%だったとします。そうすると、利息として9万円入ってくる計算です。本来ならここから9万円の2割にあたる1万8000円が税金として引かれるはずですが、財形貯蓄ならそれが無いということです。
毎年2万円近く税金の額が違うと思えば、それは大きな差ですよね。ですから、バブルのころのような金利の高い時代なら、意味があったことになります。
しかしながら現在は、メガバンクで10年の長期の定期預金を組んでも年0.1%とか0.2%しか金利がつかない時代です。そんな時代に利子が非課税かどうかなんて気にしても、まったく意味がありません。それだったら最初から、金利が高いところを探すほうが賢明でしょう。
以上のような理由で、「いいかげんなこと書くな」と思うわけです。
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