厚生年金の受給額だけでは足りない

学校の卒業以降サラリーマンとして勤め続けた人の場合、老後の資金として厚生年金をあてにするのが一般的です。正確には、老齢厚生年金と言うべきかな。

それでは、厚生年金の給付はどの程度期待できるのでしょうか?

この金額によって、老後の計画を立てるのですから、どの程度の給付があるかは重要ですね。でも、どの程度期待できるのか、いま一つ分かり難い部分があります。

計算式はあるが計算はできない

実は、老後の年金の正確な金額を知ろうと思っても、計算するのは相当に面倒なのです。これが問題を難しくしている点の一つでしょうね。

何が難しいかというと、そもそも計算方法がとても煩雑です。具体的な計算方法はあるのですが、一人一人がその計算をするには、過去の給与などの資料を集めてこないといけません。また資料があっても、実際に計算しようと思うと相当の手間がかかります。

はっきり言って、普通の人では無理です。

また若い人の場合は、そもそも計算をすることができません。老齢厚生年金の年金受給額は将来の給与と経済状況に依存するからです。将来のことが分からない以上、そもそも計算することが出来ないのです。

以上のような理由で、正確な年金額を知ることは不可能だと思ってください。ある程度年齢が高い人なら、お役所に出向いていくと、年金額を教えてくれるようですけどね。現役世帯の人には、ほとんど無理な話です。

大体いくらくらいかを把握しておこう

そこで、目安となる数字をご紹介したいと思います。正確な数字が分からなくとも、大体の金額さえイメージできれば、対策の立てようはありますからね。

まず政府は、年金に関するモデル世帯というのを定めています。そして、モデル世帯の年金収入の平均は、現役世帯の5割になるといっています。

モデル世帯というのは、具体的には次のような世帯を指します。

・ 夫は平均的収入のサラリーマンで40年間勤務
・ 年齢が同じ妻はずっと専業主婦

まず、現状の年金受給額を見てみましょう。

このモデル世帯のような、夫がサラリーマンで妻が専業主婦の家庭が、今年から年金を受け取り始めたとします。朝日新聞によると、このケースで平均月々22.3万円もらえるということです。この額は、夫と妻の年金受給額の合算です。

ちなみにこの年金額で、現役世帯の62.3%にあたるのだそうです。つまり、今年金をもらっている世帯は、現役の時の所得の6割以上の年金があるということですね。

繰り返しますが、平均的な収入があり、妻が専業主婦の場合です。その場合は、モデル世帯だと、現役世帯の6割程度はもらえると言うことですね。

これが将来的には、現役世帯の5割程度まで年金額が下がるというのです。現在の22.3万円が62.3%にあたるわけですから、現役世帯の5割というのは約17.9万円です。

ということは、現在のお金の価値で月々約18万円が年金として入って来ると考えていいでしょう。政府が言っている現役世帯の5割を維持というのはこういうことです。

ちなみに、本当に現役世帯の5割の水準が維持されるのなら、将来的には受給額は18万円よりも大きくなるでしょう。なぜなら一般的には、物価と言うのは時間とともに上昇していくからです。その分、年金の受給額も上がっていくはずなのです。

ただ、物価の上昇に合わせて金額が増えるだけなので、今の価値で18万円という部分に関しては変わりませんけどね。

細かい部分を無視した大雑把な議論ですが、大体の感覚はつかんでいただけると思います。政府の方針は、18万円で夫婦が生活しろと言うことなわけです。

この金額で生活ができるのか?

さて、17.9万円で普通に一ヶ月生活することはできるのでしょうか?ちなみに夫婦2人での生活です。

しかも、この金額はあくまで平均です。ということは、会社勤めをしていたときに所得が低ければ、もっと少ない金額しかもらえません。感覚的に、ちょっと足りない気がしますね。まあ、年金の受給額は税制的に優遇されているので、所得税がかからない可能性も大きいのですけどね。

それでは、具体的な生活を考えてみましょう。

まず、賃貸のアパートかマンションに住んでいるとすると、夫婦2人だと家賃に10万円程度はかかりますよね。そうすると、残り8万円弱です。

これに公共料金がかかりますね。家庭によりますが、月々1万円から2万円は見ておいた方が良いでしょう。節約して1万円だったとして、残りが7万円。

ということで、1カ月7万円で生活していくことになるわけです。2人分の食費を払って、衣類にお金を使ったあとで、いくら残るでしょう?年齢的に医療費が増えることは確実ですし、電化製品の買い替えの必要だってありますよね。あ、そうそう、健康保険の保険料もかかります。

率直に言って、かなり厳しいと思います。まあ、ギリギリ生活していけるレベルというくらいでしょうかねえ。

大きな病気で入院でもしたらと思うと、ぞっとします。

ちなみに持ち家の場合は、もう少し楽になります。家賃の負担がかかりませんからね。

しかし、固定資産税はかかりますし、家が古くなったら修繕しないといけないので、それなりにお金はかかるとは思いますけど。

それでも、毎月家賃を払うことに比べたら、生活はしやすいでしょう。自由になるお金自体は増えますから。

何にしても、年金だけでは厳しいという感じを掴んでいただけたでしょうか?

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