従業員持ち株会は、やっぱりデメリットの方が大きい

従業員持ち株会という制度があります。
これは簡単に言うと、自分の勤める会社の株を毎月買っていく制度です。

比較的大きな歴史がある会社だと、この制度を導入しているところも多いでしょう。
そして、無言の圧力があり、強制的に入らされるなんて事もあるようです。

ところで、従業員持ち株会というのは、従業員にとってメリットがある制度なのでしょうか?
私達が一番気になるのは、その点ですよね。

実は、東日本大震災に起因する福島原発事故で、従業員持ち株会に関する興味深い事例があります。
これを参考にすると、止めておいた方が無難という結論に達することでしょう。

私だったら、参加したくない制度です。

東電の原発事故と株価の下落

株式投資をされる方ならご存知でしょうが、原発事故のあと東電の株価は大きく下がりました。
これを書いている段階では、事故前の2割以下に下がっています。

例えば、1千万円投資していた人は、株価が2百万円以下になっているのです。
この場合なら、8百万円の損失です。

こんな感じで、東電株を持っている人は、大きな損を出した可能性が高いです。

損失の大小はさて置き、多かれ少なかれ、損をしている人が多いです。
数百万円の損失を出した人なんて、大げさではなくゴロゴロいるでしょうね。

持ち株会に入っている人はさらに状況が悪い

これは、従業員持ち株会に入っている人も同じことです。
長年コツコツ投資してきた東電株が、一瞬で価値を下げたのです。

これを書いている段階では、東京電力は国有化ということにはなっていません。
しかし、今後国有化という事になれば、東電株の価値は無価値になる可能性が高いでしょう。

今ならまだ価値は残っていますが、最悪の場合、価値がなくなることもありえます。
毎月の給与からコツコツ貯めてきたものが、無価値になってしまう事もあるわけです。

しかも、従業員持ち株会の場合は、持っている株式の売却がしにくいこともあるようです。

そもそも、従業員持ち株会で持っている株式を売却するときは、それなりの手続きが必要なはずです。
ネットで売買するみたいに、売り注文をしてすぐに約定価格が決まるなんて事はありません。

どうやって価格が決まるかは、規約によるのでしょう。
まあ、暴落しているときの買取条件が悪いのは、容易に想像がつきますよね。

さらに、表向きの理由は「インサイダー取引の可能性があるから」という事で、会社が売却を抑制するようなケースもあるようです。

あるいは、「自分だけ逃げるのか」という空気を作って、売りにくくするなんて事も考えられます。
一人だけ残業しないで帰るのを難しくする、あの空気です。

何にしても持ち株会の場合、持っている株を簡単に売れない可能性もあります。
株価が下がっていくのをただただ見ているしかありません。

今回の東電株の下落でも、途中で売りたくても売れない人が沢山いたでしょう。
この意味では、持ち株会の参加者は、一般の投資家よりもさらに悪い条件で投資をしていると言って良いと思います。

東電社員に取ってはトリプルパンチ

さて、事故の賠償などの資金を捻出するために、東電では社員の給与カットを行うことが決まっているようです。
政府との間でもめているので、最終的な額はわかりませんが、給与が減ることは確実でしょう。

ということは、東電社員は今後何年にもわたって、給与を減らされることになります。
これだけでも、経済的には大きな打撃です。

さらには、企業年金の部分にも手を入れるべきだという話も出ています。
つまりこれは、老後の資金も減ってしまう事を意味します。

持ち株会に入っている人は、ここからさらに経済的にかなりのダメージを受けることになります。
給与も減り、企業年金も減り、持ち株会で大損する事になるのです。

ある程度年齢の高い人は、今後の人生設計が大きく狂うかもしれません。
かなり大変なことだと思います。

従業員持ち株会に入るということは…

今回の事例から分かるように、従業員持ち株会に入るということは、会社と運命を共にするということです。

自分が勤めている会社の従業員持ち株会に入っている人は、その会社が潰れれば持ち株会を通して買った株も無価値になります。
つまり、給与を失った上に、金融資産も失うのです。

これは、個人のリスク管理の点から考えると、最悪のことです。
会社に何かがあっても良いように、会社とは全く関係ないところで資産運用は行うべきなのです。

ちょっと酷な言い方ですが、今回持ち株会に入っていて損をした人たちは、資産運用の基本すら知らなかったともいえるでしょう。
しかも、勤務先の株式を持つことの危なさは、今回の東電の件の前にも事例があります。

アメリカの電力会社であるエンロンの破綻でも、自社株を持っている従業員の多くが、大損害を被りました。
彼らの場合は、401kという年金システムを通して、勤務先のエンロンの株式を買っていました。

そして、持っている株式が一瞬にして無価値になったのです。
まあ、今回のケースとかなり似ていると言って良いと思います。

電力会社という点まで共通していますね。

今後も同じ事は起こりえます。
勤務先が大企業だからと安心していないで、持ち株会なんてすぐにやめるべきでしょう。

持ち株会に払っていたお金で違う金融商品を積立てよう

さて、従業員持ち株会が問題が多い事は分かりました。
それでは、私達は、どうやって資産を増やしていったら良いのでしょうか?

個人的には、持ち株会で積立てていたのと同額で、インデックスファンド(「補足」で説明)を買うのが良いのではないかと思います。

最近は、ネット証券では、投資信託の積立が可能です。
その制度を利用して積立てていくのです。

同じ積立をするにしても、持ち株会のように個別株を買うのに比べればリスクは抑えられます。
また投資信託なら、国内株だけでなく、海外の株式や債券、不動産などにも投資が可能です。

私個人としては、eMAXIS シリーズの積立をおすすめします。
日経平均に連動するタイプと、同シリーズの先進国の株式に連動するタイプを半々で買うなどすればいかがでしょうか?

投資成果の保証はできませんが、持ち株会に入るよりはずっと合理的な選択だと思います。

ちなみに、マネックス証券を使えば、月々千円から投資したくの積立が可能です。
ですから、もっと多くの投資信託に分散投資することも可能です。

eMAXIS 日経225インデックス (マネックス証券)

eMAXIS 先進国株式インデックス (マネックス証券)

補足

持ち株会で自社株を買う代わりに、eMAXIS シリーズの積立をすすめしました。
このシリーズをすすめた理由を簡単に説明しておきます。

先ずインデックスファンドというのは何かというと、株式指数に連動する投資信託の事を言います。
つまり、日経平均が2%あがったら、投資信託の価値も2%上がるというような仕組みになっています。

ではなぜインデックスファンドが良いかという点ですが、単純にパフォーマンスが優れているのです。

上の説明から分かるように、インデックスファンドというのは、単なる市場平均的な動きをするファンドです。
しかし投資信託の運用成績として考えると、平均よりも運用成績が良い事が知られています。

なぜそんなことが起こるかというと、インデックスファンドは運用に余分なコストがかからないからです。
余分なコストがかからない分だけ、他の投資信託よりも成績がよくなるわけです。

アクティブファンドと呼ばれる、投資のプロが指示を出すタイプの投資を行えば、当然人件費がかかります。
そして皮肉なことに、平均点で考えれば、人件費がかかる分だけこれらのファンドは市場平均に負けるのです。

このコストの点で特に優れているのが、eMAXIS シリーズです。
ということで、今回紹介させていただきました。

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